はやくおとなになりたい

短歌とぶんがくと漫画を愛する道券はなが超火力こじつけ感想文を書きます。

「君たちはどう生きるか」よかった

「君たちはどう生きるか」観てきました!ごりごりにねたばれするので気をつけてください! 久しぶりの映画でテンション上がってポップコーンS買ったらめちゃでかくてひるむ。隣席の観客の方に絶対「こいつめちゃ食うやん」と思われていたと思う。戦時下を舞…

【文舵②】猿沢池

猿沢池 春日若宮おん祭りの日の猿沢池はたこ焼きやベビーカステラを求め る人の頭が黒黒とひしめいてまるでそれ自体が意思を持った生き物 のようにうねっては行き先を失って詰まり散っては凝り固まりを繰 り返しているが娘の奈緒がそこへさっさと入っていっ…

【文舵1②】祈った

祈った このバスは目的地には着かないと気がついたのは、信号待ちのバスの窓から、灰色にけぶる鴨川が見えた時だった。血の気が引くとはよく言ったもので、澤井はその時、 嫌な冷えに身体の芯が軋むのを感じた。澤井は目的地行きの正しいバスを調べ、 仕事相…

【文舵1】二人三脚

二人三脚 私の足首と自分の足首を襷で結んでいるアヤちゃんのつむじに、 私は「彼氏できた?」って聞きたかった。やめたのは、 二人三脚が始まる直前に聞くべきことではないと思ったからだ。 昨日二人で帰る途中、 なぜか卓球部のタナカが割って入ってきた時…

「くるみパン395円vol.01」よかった

華栄さんとはとサブレさんによるユニット華サブレさんのネットプリント。折句で短歌、短歌穴埋めクイズ、おふたりのいちごつみが掲載されています。楽しそうなことを色々やってみたい!という感じにあふれてきらきらしたネットプリントでした。 拙い評で恐縮…

「異国」第一回テーマ『フェスティバル』よかった

短歌同人「異国」第一回テーマ『フェスティバル』を拝読しました。同人の方ひとりひとりが順番で「親」になってテーマを設定するスタイルだそうです。難しおもしろそう…! 拙い評で恐縮ですが一首評をさせていただきます。ご高覧いただけると嬉しいです。 張…

「トライアングル(第4シリーズ第二回)よかった

わ〜いトライアングルだ! ゆるいけれど一筋縄ではいかない水沼朔太郎さんの歌は、どんな歌人をゲストに迎えても、化学変化を起こされますね。今回ゲストの御殿山みなみさんは、かわいい主体像にぴりっと悪意や郷愁がにじむ作風ですが、お2人で並ばれると、…

「CERTIFICATE2018」よかった

2018年に短歌を始められた方々によるネットプリントCERTIFICATE2018を拝読しました。生まれ年ネプリや星座ネプリは様々な歌歴のひとが集まって楽しいですが、短歌デビュー同期で集まるのは同級生感があって、これもまた楽しそう…と羨ましくなりました。以下…

オワーズライナス読書会ゆるゆるレポ2

《高田ほのか『ライナスの毛布』について》 ですます調が多用されている連作は下着売り場を舞台にしており、下着売り場の店員の過剰な丁寧さを揶揄した表現のようにも思えたため、私はそれほど気にならなかった。 「こちらは昨日入荷したての新作でクロワッ…

『ベランダでオセロ』よかった2

《佐伯紺さん「本棚」》 本編を終えてから観る予告編みたいにきみをわかろうとして/「予告編」佐伯紺「本棚」/『ベランダでオセロ』 もうあらすじが全て理解できたうえで、改めて予告編を見る。答え合わせのような、結論があってそこにいたるまでの過程を…

『ベランダでオセロ』よかった1

大阪文学フリマで入手した『ベランダでオセロ』、大好きでした。連作ひとつずつ感想挙げさせていただいて、最後に全体をまとめられたらいいなあ 一首評も連作評も不慣れなので 全体的にこう ゆ ゆるしてください …… 《御殿山みなみさん「テン・テン」》 愛知…

オワーズライナス合同読書会ゆるゆるレポ1

「オワーズライナス合同読書会」に参加しました。白井健康さん『オワーズから始まった。』(以下『オワーズ』)、高田ほのかさん『ライナスの毛布』(以下『ライナス』)の読書会で、パネリストに彦坂美喜子さん、𠮷岡太郎さん、江畑實さん、尾崎まゆみさん…

「未来のミライ」よかった。

【家族史の物語】 TVドラマ「あまちゃん(脚本:宮藤官九郎)」、ガルシアマルケス『百年の孤独』、桜庭一樹『赤朽葉家の伝説』……どれも三世代、もしくはもっとたくさんの世代を跨いで、一族の興亡を描いた物語です。 アニメーション映画「未来のミライ」は…

ニューウェーブ30年 うろおぼえレポート3

道券なりに 参加にあたって、私は「私はニューウェーブなのか?」という問いを立てていました。 岩波文庫の現代短歌辞典には「口語、固有名詞、オノマトペ、記号などの修辞をさらに先鋭化した一群」とあり(サイトで準備してくださった資料で読みました)、…

ニューウェーブ30年 うろおぼえレポート2

〇大井学さんの質問「新しい場を作ることについて」 【荻原裕幸さん】 ・メーリングリスト等当時から色々あった。加藤さんが「こんな場があればいいね」と夢を語り、その実現のために荻原さんや穂村さん、西田さんが手伝っていた。 【穂村弘さん】 ・誘われ…

ニューウェーブ30年 うろおぼえレポート

こんなにたくさんの人が短歌に、ニューウェーブ短歌に関心をお持ちだということに、まずは圧倒されました。なんだかすごい会に参加させていただき、ありがとうございました。また、ニューウェーブ、ライトバース、前衛短歌、という言葉について、予習をして…

「ぺんぎんぱんつの紙 風雲録」よかった

今年の冬はネプリにまみれていました。 どうしても誰と生きても雪はふる推しにお金を払って帰る 田丸まひる「ねえ見逃してきたんじゃないかな」 私のTL上この冬いちばんの話題歌です。下句の言葉が強烈で、共感を呼んでいますが、上句との対比が好きです。上…

「宝石の国短歌」よかった

かかり真魚さまの「宝石の国短歌 フォスフォフィライト/アンタークチサイト連作」ネプリを出させていただきました。「宝石の国」だいすきなので、短歌で二次創作をされるというそれだけでもうとってもうれしかったです ひざまずくやうな角度で手折りした枯…

「クローゼットに鮭」よかった。

龍翔さんの「クローゼットに鮭」、放流いただきました。 毎晩何度も読み返させてもらった、好きな連作でした。 男性ふたりで引っ越しをして同じ部屋で住むようになるという内容の連作で、ミニマムな観察眼がちりばめられているところがとても好きでした。短…

『猫は踏まずに』よかった。2

【くくる、くくらない】 ワトソン君こつそりチョコをお食べだねキスしなくてもわかるよぼくは ほつほつとはつなつに雨おちてきてないものをねだつてもいいんだよ 騙しゑを模写するようなぼくたちの窓を過つてゆく鳥の影 雷鳴は真夏の鼓動ぼくたちはたひらな…

『猫を踏まずに』よかった。1

本多真弓さんの第1歌集『猫を踏まずに』、付箋数がえらいことになったけれどすみずみまでじっくり読みました。がんばって間引いたけれど選べなかったので長くなってしまいました。 【「あえて」の凄み】 残業の夜はいろいろ買つてきて食べてゐるプラスチック…

「真砂集」良かった    

とりあえず まず 好きな歌を あげます。絞り込むのが大変でした。私の語彙力がゆるせばもっともっとあげたかった。 手をつなぎ歌ひつつゆく四歳の子の切りたての爪の鋭さ 飯ヶ谷文子「帰る場所」 「四歳」と言われて初めて、四歳の子がどれくらいの大きさ、…

現代歌人集会秋季大会 うろおぼえレポ2

4、鼎談 尾崎左永子さん、松村正直さん、大森静佳さんで「佐藤佐太郎についてなど」という題でお話しされました。 ・昭和十九年、女学生だった頃、戦前で本が手に入らず本屋で立ち読みした「しろたへ」に感銘を受け、ここに師事すると決める。戦後手紙を送…

現代歌人集会秋季大会 うろおぼえレポ1

短歌についてのお話をたくさんお伺いできて楽しかったです。名前しか存じ上げない方のお顔や、久しぶりにお会いする方のお顔を拝見でき、とてもうれしかったです。 1、選考経過 江畑實さんから選考経過が発表されたのですが、最初のほうでまごまごしてしま…

エア読書会・岩尾淳子さん『岸』

前エントリに続いて、先日行われた「未來短歌会彗星集神戸歌会・田丸まひる『ピース降る』・岩尾淳子『岸』合同読書会」に参加できなかった悲しみをばねに、ここでエア読書会を開催しています。 岩尾淳子さん『岸』について 1、ひそやかさ、やわらかさ 校舎…

エア読書会・田丸まひるさん『ピース降る』

先日行われた「未來短歌会彗星集神戸歌会・田丸まひる『ピース降る』・岩尾淳子『岸』合同読書会」、むちゃくちゃ行きたかったのですが、諸事情で行けませんでした。悲しいので、ここで1人でエア読書会を開催したいと思います。 田丸まひるさん『ピース降る…

売野機子「MAMA」よかった

売野機子大先生の「ルポルタージュ」がとても話題になっているので、前作「MAMA」を読み返しました。「ルポルタージュ」も完結したら感想を言いたい。 あまりうまく説明する自信がないので、とりあえず「MAMA」のすごいところを箇条書きにします。 1、主人…

羽虫群 批評会 ふんわりレポ2

道券なりに 私は虫武さんとはお会いしたことはなく、ひととなり?にもあまり触れる機会がなかったので、歌集を一生懸命読み込んでの参加でした。 「かわいがられすぎるとあやうい」、「作者像に頼るとあやうい」という見解が出たように、『羽虫群』は、1冊…

羽虫群 批評会 ふんわりレポ1

わーすごい!と思っているあいだにあれよあれよと終わってしまいました。 正直自分の記憶の精度に自信がありませんが、書かないと無かったことになってしまう気がするので… 穂村弘さん 「これでだめならもう仕方がないというくらいよくできた歌集」という、…

ラ・ラ・ランドよかった。

【ラ・ラ・ランドのラスト「あり」派と「なし」派】 私のラ・ラ・ランドの初見の感想は、「よかった。2人の夢も叶ってハッピーエンドだった。あったかもしれない輝かしい恋の様子も美しくて最高だった」だった。 しかし、ラ・ラ・ランドのラストについて、私…