ニューウェーブ30年 うろおぼえレポート2
〇大井学さんの質問「新しい場を作ることについて」
【荻原裕幸さん】
・メーリングリスト等当時から色々あった。加藤さんが「こんな場があればいいね」と夢を語り、その実現のために荻原さんや穂村さん、西田さんが手伝っていた。
【穂村弘さん】
・誘われたら参加したが、自分から発案したことはない。オンデマンド出版?は特に怖かった。自分が第一歌集出す時に執着したので、そんな人々の執着とお金を扱うのは嫌だった。
【荻原裕幸さん】
・穂村さんは誘うと必ず「それ僕にどんないいことがあるの?」とシビアにメリットを問う。穂村さんをのせるためには、それを丁寧に説明する高度な技術がいる。
【穂村弘さん】
・加藤さんは、斎藤斎藤さんや笹井宏之さんの歌集を出すきっかけになったすごい人。西田さんの第二歌集を出す声かけをした功績もある。
〇佐藤りえさんの質問「傾倒したもの」
【加藤治郎さん】
・岡井隆さん。生き方も、歌も。
【西田政史さん】
・大江健三郎、村上春樹、村上龍、高橋源一郎、ヴォガネット、浅田彰、ギンズバーグ、ビートルズやホフディラン。
【穂村弘さん】
・寺山修司、塚本邦夫。少女漫画の24年組。特に歌のイベントで、パネリストをお願いした方に、大島弓子のコミックスをプレゼントするくらい好きだった。ただ謝礼を渡していなかったので、今では申し訳なく思っている。誰か教えてよ。
【荻原裕幸さん】
・寺山修司、春日井健、塚本邦夫、アニメ。アニメはおもねらないから好き。
〇寺井龍哉さんの質問「前後の世代との関わり」
→荻原さん「さっき前の世代との関わりは言ったから、後の世代について話します」
【穂村弘さん】
・若い人のほうが正しい、年をとればとるほど間違っていると、自分の経験から思ってしまう。でも若い人と話すと全部相手が正しいように思って辛い。ただ、佐々木朔さんの歌の下句に「埠頭で鍵を拾った」か何かがあり、それはいい場所でいいものを拾いすぎ、詩的ハードルを自分で上げすぎると回収が大変だと指摘したことがある。そうすると寺井さんが「その評はない」と言った。歌はよく読まれるべきで、そう詠んだならそれなりの理由があるはずということだろうか。
【寺井龍哉さん】
・読む側の自分の感覚を信じすぎた評だと思った
【穂村弘さん】
・歌のポテンシャルは無限ってこと?歌自体の個体差は?
【寺井龍哉さん】
・歌として作為がないかもしれない。まだ自分の中で答えが出ていないので何とも言えないが
【穂村弘さん】
・この場ではこれ以上は難しいかもしれない
【西田政史さん】
・これを聞いていても、フラットになってきたと思う。
【荻原裕幸さん】
・今の「この人の歌の中心に何があるのかわからない」、「ダイレクトすぎる」、「〇〇な歌をよく勉強しているな」と思わないような人が面白い。短歌ホリックの人たちとかもそう、1首はわかるけど連作でよむとわからなくなって、興味深い。
〇鈴木晴香さんから「ニューウェーブはパラダイムシフトを起こした大きな波だったが、やり残したことはあるか」
【穂村弘さん】
・自分たちは他ジャンルを知っているのに、他ジャンルは短歌を知らないという非対称性をなんとかしたい。でもこの問題意識は同意されない。「もっとマイナージャンルはある、あなたは指揮者の名前を3人言えるのか」と問うてくる人もいる。
〇東直子さんから「東直子、林あまり、早坂類への言及がないのはなぜか」
【加藤治郎さん】
・前衛短歌にも、葛原妙子や山中智恵子は入らなかった。女性はこういう時代の括りにとらわれない、自由に天翔ける存在だから。
【荻原裕幸】
・今日見てきた感じからしても、ニューウェーブって得体の知れない、どこか曖昧な括り。こんなまやかしにこれ以上の人を括ってしまうのはどうかなと思ってしまった(自分たちが勝手に名乗るのはいいが、他人を巻きこむのは恐ろしいという意味か)。
つづく!