はやくおとなになりたい

短歌とぶんがくと漫画を愛する道券はなが超火力こじつけ感想文を書きます。

「くるみパン395円vol.01」よかった

 

 華栄さんとはとサブレさんによるユニット華サブレさんのネットプリント。折句で短歌、短歌穴埋めクイズ、おふたりのいちごつみが掲載されています。楽しそうなことを色々やってみたい!という感じにあふれてきらきらしたネットプリントでした。

 拙い評で恐縮ですが一首評をさせていただきます。ご高覧いただけると嬉しいです。

 

 


真っ直ぐに進めないのは二人乗りボートをひとりで漕いだせいだね はとサブレ


 二人乗りボートは右と左とで同じ強さで漕ぐことによってまっすぐ進むが、それをひとりで漕いでしまうと、左右どちらかに力が偏って真っ直ぐ進めない。詠まれている景はそれだけだが、相聞の多いいちごつみのなかにあるからか、相手とならやや窮屈でも楽しく暮らせるのに、ひとりだとどうしていいかわからず頼りない思いでいる…といったような、ふたり暮らしからひとり暮らしに変わった心情のようなものを連想させて、奥行きがあると思った。

 また、先に「真っ直ぐに進めない」と提示した上でその理由を明かす構造は、想像力を掻き立てて巧みだと思った。

 

 

失恋で髪は切らない嫌いだと君が言ってたシャンプーを買う 華栄


 失恋したとき、髪を切って気分を変えるというのはよくある話だが、主体はシャンプーを買うと言う。君が嫌いだと言っていたから敬遠していたシャンプーが、失恋を機に自由に使えるようになるからだ。このあてつけのような、空元気のような前向きさが、とても印象的だった。主体が過剰なまでに前向きなのは、それほど失恋が痛手で、それほど君のことが好きだったからだ。

 「言ってた」の口調の幼さに、巧まざる本音であることが感じられると思った。

 

 


すてきなネプリをありがとうございました!